ラベル インクルーシブデザインWS の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル インクルーシブデザインWS の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2010年12月21日火曜日

インクルーシブデザインWS「オノマトペで遊ぼう!」(2)

午後からの参加者が各グループに一人ずつ合流。
あだ名+サインネームをみんなでつけてから自己紹介。
全盲の学生さんも手を動かしてサインネームを表しました。

「ゆうちゃん(講演した高村さん)」と「めがねの先生」のファシリテートでオノマトペ遊び開始。

「ゆうちゃん(講演した高村さん)」と「めがねの先生」
①オノマトペの単語からすぐに思い出されるものをそれぞれ書いて示します。
紙にかいてクリップボードでみんなでいっせいに上げます

「ほかほか」と聞いて思い出すものはいろいろ。
肉まんの絵、温泉マーク、「弁当」と三者三様
一つのオノマトペでもさまざまに使われてることを発見したところで

②グループで音が同じでも違う意味を表すオノマトペを探します。


各グループ、音声と手話で発表。
ろう者が種手話で、聴者が音声を担当して発表

ゆうちゃんが正面のパワーポイントの画面を使って文字でも表示。
聞きながらパソコンに入力、壁の画面に大きく映し出されます

次は③、ぬいぐるみやゴムのおもちゃ等モノを観察してオノマトペ探し。
共通の「お題」と各グループ選択したモノからオノマトペをみつけて発表しました。
ちいさなぬいぐるみとピンクのゴムのおもちゃをさわりながら相談

一つのモノからいろんなオノマトペが出てきて、中には不思議なものも(笑)
でもちゃんとその様子を表していたりして面白い。

最後に④、状態や動作からオノマトペを探します。
はじめに例題としてアシモが歩く映像を見て
「アシモが○○○○と歩く」
の○○にあてはまるオノマトペを各人で探します。

全盲の学生さんには、アシモの真似が上手な小学生が実演、
一緒に歩いてもらってどんな歩き方か、伝えました。
小学生の男の子が真似して歩くのにつかまって、歩き方をみています

当てはめるオノマトペはみなさんいろいろ。
紙にそれぞれ「ウイーンウイーン」「よちよち」「ごちっごちっ」

次に、「川」や「食べ方」など、状態や動作の「お題」カードをグループで選び、
そのオノマトペを探します。
「転ぶ」「気持ち」「川」についてのオノマトペを探し紙に書いていきます

最後にグループ全員で発表。
全員で前にでて発表

普段何気なく使っているオノマトペ。
グループのみんなでだしあって並べるうちに、同じモノにまつわるオノマトペの違いが程度や大きさで整理できることに気づいたり、いろんな発見がありました!

Aグループの皆さん
小学生と車イスユーザー含む6人

Bグループ
美女五人

Cグループ
眼鏡の先生と美女たち5人

みなさん、ありがとうございました!

参加頂いた方の感想
①今日のWSはいかがでしたか?感想をお願いします。
②特に印象に残ったことがありましたらお願いします。

取手市20代女性
①「オノマトペ」って面白いの・・・?と、内容を詳しく聞かないまま参加したのですが有意義な一日だったなと感じます。
②人形劇、ジェスチャーで音を表す

つくば市30代女性
①皆さんがイメージしているオノマトペ、現在使われているオノマトペなど、オノマトペとは何か、説明と実習体験をすることで楽しく勉強できました。参加してよかったです!ありがとうございました。
②表現があるオノマトペは大変面白かった。言葉に表すのが難しいのもあれば、表現に表すのが難しいのもあるオノマトペ。

つくば市40代男性
①非常に丁寧な構成で感心しました。とてもために成り、新しい発見がありました。久しぶりに頭をフル回転させて課題を考えました。
②一つのオノマトペから発想したものを書くときは、ジェットコースターにでも乗ってる気分でした。

つくば市20代女性
①いろいろな環境の人と話せて楽しかったです。コミュニケーションのとり方がいろいろあることを知れてとても勉強になりました。
②同じものに対しても人によってオノマトペが違い、感じ方が人によって異なるということを初めて知り、印象に残りました。

取手市40代女性

・まずホワイトボード(卓上)がとてもよかった。皆で話が共有でき、思いついたことをすぐ書け、とても便利。(うちのグループに視覚障害者が居なかったが、もし居る場合は少し配慮が必要)
・発表の方法も、視覚的・聴覚的にわかるような工夫が自然に出来てとてもよかった。
・「オノマトペ」初めて真剣に考えてみた。聴覚障害者はそのイメージをどこから持ってくるのか?マンガ?そこまで分析してみたいと思った。

・ミニ講演「目で聴くオノマトペ」
・繰り返しの表現=今もその状態が続いているイメージ/1回だけ=すぐその状態が終わってしまうイメージ
今日は、年齢・障害の有無に関わらず全員が参加したワークショップでとても楽しかったです、固い頭が少しはやわらかくなった?

守谷市10代男性
①わかりやすく、面白かった。
②アニメーション

守谷市30代女性
①オノマトペについて興味があったので参加しました。
講演がとてもわかりやすかったので、息子も楽しかったそうです。
オノマトペを6つの種類に分けたり出来るのが驚きました。
伝えにくいこともオノマトペをうまく使うことで表現豊かに柔らかく伝えられるんだなと思いました。
障害も・年齢も、性別もいろいろな人が集まって1つのことをしたのが初めてだったので、とまどいもありましたが勉強になりました。
②オノマトペを手話や絵、映像に表現できること。とても新鮮に感じた。

東京都武蔵野市20代女性
①参加者のみんなで意見を出し合いながらオノマトペを考える事ができた。
自分で思いつかないものを見つけたり発見があった。
②高村さんの発表の中で「オノマトペのもと」+「り」「っ」「ん」等、何をつけるかによって
法則を分類できることになるほどと思った。
(「ぽきっ」は軽いイメージ、などの考えはあったが、何に接続しても同様のイメージになるところまで
考えた事がなかった。)

龍ヶ崎市40代女性
①さびつきかけてる脳ミソをいっぱい使わせてもらいました。私は「オノマトペ」という言葉も知らない人間で来たが、あたらためて自分の生活を見直してみたい。
②理系の大学に通っている子どもたちをつれてきてともに教えてもらいたかったな~。

つくば市20代女性
①聴覚障害者とオノマトペを通してコミュニケーションできたり、新しい発見が出来てよかった(手話は出来ないけど)
②オノマトペを表情やジェスチャーで表現していてすごいと思った。

つくば市30代女性
①意外なところにもいろいろなオノマトペがあることを知りました。これまできづかずに使っていたりすることも多いと感じました。
②人によってとらえ方がさまざまであったことを確認しました。

龍ヶ崎市50代女性
①とても興味深く参加しました。
手話サークルの方に声をかけてもらいましたが、いろいろなことに共通するのかな、とも感じました。
②私の席は、さまざまな障害を持った方と一緒でした。自分の有り方、支え方、支えてもらい方など、考えさせられました。いい勉強になりました。

インクルーシブデザインWS「オノマトペで遊ぼう!」(1)

12/5(日)、

いっしょに楽習会~インクルーシブデザインの実践
第4回
インクルーシブデザインワークショップ「オノマトペで遊ぼう!」
18名の方の参加で行いました。

はじめに、丁度1年前のインクルーシブデザインワークショップ
教えてもらった、インクルーシブデザインワークショップをするときに
大切にしたいこと

「先入観で線を引くのはやめましょう」
「どこが伝わってどこが伝わらないのかを自分たちで体験して見つけましょう」


大事にすること
「全員参加、誰もおいていかない」
「わからないことはわからないといっていい(質問はいつでもOK)」

を共有し、グループごとでアイスブレイク「あだ名をつけよう」。
グループにはろう者・聴覚障害の方もいるので、グループ内での
コミュニケーション方法も全員で確認しました。

テーブルを囲んで相談中

ホワイトボードをシートにしたような、大きな紙を筆談用紙として
テーブルに用意。それを使うグループもありました。

それぞれの名前や好きなことを出しあい、他の人がその日呼ぶあだ名
・・・墨字・音声と、ろう者が使う「サインネーム」=手の形・動きでその人を表したもの
をお互いつけ、全員であだ名を発表しあいました。

あだ名発表中。手話で「サインエーム」と表しているところ

続けて
ろう児とオノマトペについて研究された
高村友里恵さん(筑波大学人間学群障害科学類) 
『オノマトペ~生き生きとした表現~』

PPTを使って話す高村さん

一口にオノマトペといってもいろんなものや形に分類があること、
身近な例として商品名につかわれているオノマトペについてや
オノマトペの方言や外国にもあること、そして歴史・・・
『竹取物語』のころから「グウグウ」「メラメラ」などが今と同じ意味で
すでに使われていたこと、逆に、今では使わない表現もあるなどの
お話は大変興味深かったです。

続いて
諏訪恭子さんの(筑波技術大学総合デザイン学科平成22年度
卒業生)卒業制作『目で聴くオノマトペアニメーション』について。

オノマトペアニメーションを解説する諏訪さん

子どもの頃からオノマトペに強い関心を持っていたという諏訪さん。
実際の映像作品を見ながら、動機や製作の過程をお話くださいました。

お昼休みには、耳の不自由な人もそうでない人も一緒に楽しめる
人形劇として取り組んでいるグループのみなさんによる
人形劇がありました。

人形劇上演中

頂いた紹介文をそのまま掲載します。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
人形劇について

劇団名:まだない(2009年発足)
メンバー:筑波技術大学 総合デザイン学科 生田目美紀
     多摩美術大学 情報デザイン学科 楠房子
協力:多摩美術大学学生さん有志
演目:注文の多い料理店(宮沢賢治)

経緯?:私たちは、デザインを活用した楽しい教育について実践的な取り組みをしています。
人形劇は娯楽や教育として子供から大人まで楽しめるもののはずですが、
ナレーションと人形で物語が進行するため、音声や口形から情報がとれず、
耳の不自由な人にとっては内容がわかりにくいものです。
そこで、耳の不自由な人もそうでない人も一緒に楽しめる人形劇を演じてみたいと思いました。
コンセプトは、「小学校でできる(ちょっと教育的な)ユニバーサル人形劇」です。
まだまだ未熟ですが、楽しんでいただければ幸いです。
*ご希望がございましたら、いつでも実演に伺います。miki@a.tsukuba-tech.ac.jp

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2009年12月25日金曜日

12/5インクルーシブデザインワークショップとは?(2)

午前のお話の実践編として
午後は「バンソウコウ」ワークショップ。

各班1名のリードユーザー(目の不自由な方)に6人ずつ3グループで開始。

はじめにグループ内仲良くなるための「しりとり自己紹介」。
最後に各班3分で作品をプレゼンするのを踏まえながら、
試作品作成、プレゼンの仕方までをみんなで考えていきました。

プレゼンで発表する内容

1.アイデア商品名
2.きっかけとなった気づき
3.巻き込めるユーザー
4.試作品(具体的につくる)

はじめにまず
リードユーザーのこれまでのバンソウコウに関する経験を聞いたり、
実際にバンソウコウを使っている様子をじっくり観察。
使い方をじっくり観察
気づいたことを全部、小さな気づきをすべて付箋に書き留め、
次に共通の気づきを分類、出てきた課題と、対応策を考えていきます。

リードユーザーの「傷口の位置がよくわからない」という経験から、
「それって晴眼者が見えにくいところの傷に貼るときも同じだよね」と
実は目の不自由な方だけでなく自分たちも同じ不便があることに気づきます。

箱の開け閉め、ゴミの問題、貼り具合の問題・・・
それが「当たり前」で、これまでなんとなく使っていたバンソウコウ
ですがこうなっていたらもっといいよね、とか、
こんなのはどう?など次々、グループで活発に意見が出ました。
グループの様子。付箋を分類しながら気づきを共有します
それを元に手を動かして「模型」を創っていきます。
みなさん真剣にバンソウコウに向き合いつつ、会場は笑い声で
いっぱい。
下を向いて真剣に手にバンソウコウを貼ってみている二人
そして各班のプレゼン。
アイデアがたくさん出て5つも試作品を作った班
空き缶を使った「エアがでて傷の位置が分かる商品」商品名『背中怪我した人』をプレゼン中
うたい文句もつくり、視覚的にも工夫したプレゼン
セロテープ状になったバンソウコウ、商品名『フリーペッタンコ』。画用紙にうたい文句を書いたものを示しつつ、実演しながらプレゼン中。
テレビショッピングを真似た掛け合いのプレゼンをする
グループ。。
商品名『ペタリン膏』を3人でプレゼン中
みんなの気づきから、いろいろ考えて試作品やプレゼンを
工夫して作ることがこんなに楽しくて、また、みんなで知恵を
出し合えばできるものなんだ、
ということ、みんなで実感しました。

ws終了後、ふりかえりとして、「では結局IDWSとは何?」
として、
今日一日で感じたこと、思ったことを付箋に書いてグループで
話しあいました。

・工夫を考える、ともにつくる楽しさ
・新しい視点との出会い
・アイデア・知恵の出し合い、伝える
・カテゴリーでなく原点がある
・考え方は「雪だるま式」
・出来上がったものに無理がない
・デザインによって線引きされない
・さまざまな目線からの意見を共有、その視点からも
 見られるようになる
・多様な状況の人の意見を聞き、共有できる
・年・性別・仕事の違いを超えて、一人では思いも着かない
 ことを思いつける
・思い込みに対する気づき
・三本の矢なら折れない
・不便な人と自分を分けないで巻き込む
・多様な人と居ることで知る自分の不便
 (実はみんなが障害者)
・自分を含めたみんなのためのデザイン
・誰も排除しないものづくり
・分ける・排除でなく、巻き込む、が大事な場所
・平等参加
・一人から出発して共有していくWS
・井戸端デザイン工房
・地引網的、ごった煮的おいしいものが出来る
 =全ての人を幸せにするデザイン

インクルーシブデザインとは、を一言で表すのは難しい(>_<)
でも体験した皆さんの「つぶやき」たちが
よく表していると思います。

有意義な、楽しい学びの時間を共有できた一日でした。

頂いた感想
①講演会・ワークショップはいかがでしたか?
②特に印象に残ったことを教えてください。

①シマウマのワークショップ、面白くて参考になりました。
 自分がいかに感覚でとらえているかを思い知らされました。
②障害や高齢の境目をデザインに求めるという概念が
 新鮮でした。
 見方次第でこんなに変わるなんて!
(20代男性 つくば市 午前のみ)

①大変良い経験をしました。
 塩瀬さんのWSは2回目ですが、2回目では聴けなかった
 レクチャーやその後の取り組みについて、効用の広さを
 学ぶ事ができた。
②動物園のコンペの内容
(50代男性 神奈川県横浜市)

①先入観ではなく、周りを巻き込んで幸せ(みんなが)に
 なれるようなデザインを共に作っていく事が
 大切だなぁと思った。
 全てのことは共同作業から行われており、それが成立しない
 事が現時点では多いように思うのでそれは残念に思う。
 WSでは、まったく知らない人同士でしたが視点の違いで
 考え方が違うところが新鮮だった。
②シマウマの絵
 いかにうまく伝えられなかったのかがわかったし
 よくみていなかったかも。
(30代女性 千葉県我孫子市)

①参加してよかった、出られる限りはまた来たい。
 来るたびに学ぶことがある。
②ワークショップ。
 当事者の意見を聞いてモノを作ることの重要性を強く感じた。
 先生のお話も勉強になった。
(70代男性 土浦市 リードユーザーを担当)

①たいへん楽しく、新しい気づきが多かったです。
 ものづくりを通してのインクルーシブデザインの理解手法は
 目からうろこでした。
②公共施設のバリアフリーについて。
 動物園のコンペ作品もすばらしかったです。
(30代女性 つくば市)

①面白かった!午前も、午後も、とても面白かったです。
 同僚にも教えたいです。
②「他人事だから」という言葉が印象に残りました。
 障害の有無関係なく同じ目線で取り組むのははじめてだった
 のでとてもよい体験でした。
 こちらが助けられたような気もします・・・
(30代女性 東京都中央区)

①コミュニケーションは共同作業である、が印象的でした。
②いろいろな人たちと接するなかで「気づき」が大切と
 感じました。
(40代女性 つくば市)

①『他人のため』に、うそくささを感じていたので、
 自分と相手が同じところで過ごせるための考え方がいいなと
 思いました。
②自分がするかどうか、自分の家においてもいいかどうか、
 の視点を持つこと。
(20代女性 つくば市(午前のみ))

最後に塩瀬さんと各班のみんなで記念写真を撮りました(^-^)

『闇夜のバンソウコウ』『片手でエイド』『パットサワラーズ』
『背中怪我した人』『パットばん』を考案したA班のみなさん
A班の集合写真
『フリーペッタンコ』を考えたB班のみなさん
B班の集合写真
『ペタリン膏』を考えたC班のみなさん
C班の集合写真
みなさんありがとうございました!!

12/5インクルーシブデザインワークショップとは?(1)

12/5(土)の講座
つくば市民大学 講座案内
は、20名の方の参加で行いました。

講師の京都大学インクルーシブデザインユニットの塩瀬隆之さん

は超お忙しい中、朝一の新幹線で京都から会場入り。
本当にありがとうございました。

会場を回って話をする塩瀬さん
午前講演
はじめに、
『動物園』が今年のテーマの、
京都市みやこユニバーサルデザインコンペ
http://www.city.kyoto.lg.jp/hokenfukushi/page/0000051996.html
で京都大学インクルーシブデザインユニットが見事大賞を受賞した『みんなをまきこむ動物園』のプレゼンをたどりながらインクルーシブデザインとは何か?のお話がありました。

エクスクルーシブ(排除・出て行ってください)
の反対語が
インクルーシブ(包摂・巻き込む、入ってきてください)。

グループで障害のある方と動物園を回って気づきを共有し、そこから、こうなっていたら楽しいよね、もしもうちょっとこうなってたら車イスからも、こどもの目線からも動物がよく見えるよね、こんな工夫があると面白いよね、いろんな人に楽しんでもらえるよね~という動物園を考えたそうです。

人と動物の目線の違いへの気づきから、京都の夏の風物詩「床」を借りて、キリンの目線の床を作りお酒を楽しむ、なんてアイデアもでたそうです。

フツウだとモノも施設もデザイナーが考えるけれど、インクルーシブデザインでは、いろんな人とみんなでまわって楽しかったこと、こうなってたら楽しいを出し合うことで、これまでと根底から違う提案ができていると思う、とのお話でした。

もう一つ。
うまれつきの全盲の方と動物園を回ったグループがシマウマの前に来たときのこと・・・

グループの人「シマウマがいます」
全盲の人「シマウマの縞ってどんな縞?」
グループの人「えええっ!?え~と、え~っと・・・」

僕が知っているから説明してあげるよ。
と思ってブラインドの方と歩き始めるが実は全然きちんと見ていなかったことに気づく・・。

            ・・・・・

これと似た状況・・・
グループで、後ろをむいている人に、シマウマの写真をみながらどんな縞かをみんなで説明し、その人にシマウマの絵を書いてもらう、というワークショップをしました。

どのグループも楽しそうにわいわい。
でも出来上がった絵はシマウマとは程遠い新種の生命体・・・!?

シマウマの映像に背を向けた人が、他の人からの説明を聞きながらシマウマの絵を描いている

こんなにシマウマの体をじっくりと見る機会もありません。
シマウマの顔部分の複雑な模様、お腹部分には縞がないこと・・・新しい発見がたくさん、シマウマの見方がこれまでと変わります。
見えない人に説明して「あげる」というのがいかにおこがましい考えだったか。
いかにシマウマをきちんと見ていなかったか。
口頭で説明する難しさ。
説明するために「触るくらいゆっくり細かく見る」ことでシマウマについて新しい発見がある・・・。

見えない人と一緒に居ることで気づかされることがあり、新しい感動があり、見方が変わる。
こういうのができるのもインクルーシブデザインの力、というお話でした。

          ・・・・

デザイナーだけで思いつけないことをみんなの力で出す、素朴に感じる疑問、工夫を集めただけでもこれだけのものが出来るのだから、みなさんにもどんどんやっていただこう、ということで、インクルーシブデザインワークショップをあちこちで行ってきていて、今回で記念すべき!60回だそうです。

小学校でのワークショップ、京都駅で待ち合わせをしてみるWSなど等、豊富な経験と事例をお話くださいました。


disable=障害のある人 と
disabled=障害をこうむっている人
という考え方の違いについて。

老眼になったからみえない・・・ではなく、最初から文字が大きければ見えて、境・不自由を感じずに済むはず。
高齢者とは何歳からか、線引きが出来ないように、障害者も線引きが出来ない。
ある行為ができなくなって不便を感じるようになることが「障害」なわけで、もともとが良いデザインだったら・・・

「できないこと」を個人の認知や身体のせいにするのではなく、理由をデザインに求めるのが「disabled」の考え方。
人の行動・行為はまわりの環境・デザインによって変わる。
だから、デザインをしっかり変えていくことが大事、とのお話でした。

よく尋ねられる、
ID(インクルーシブデザイン)
UD(ユニバーサルデザイン)と何がどうちがうのか?については。

UDでもIDでも、優秀な個人デザイナーが作ったものでも何でも、みんなが使いやすいものが出来るならば何でも良いと思う。

みんなが使いやすい
 =使ったときに境界線(排除の線)が見えない、感じない、
  そこから少しでも遠ざかっていること、
  一人でも多くの人が使いやすいもの、
そこを目指すことが大事。
パワーポイントの画面の写真。箇条書きで。ユニバーサルとインクルーシブは何が違う?みんなにつかいやすいデザイン=結果として誰もが使いにくい事がある。最適解が唯一つ存在するという思い込み=人の多様さは想像を絶する→個からはじまり、いつでも個に立ち戻る事ができるユニバーサルデザインといえる。
IDでは、リードユーザーという特定の一人から出発。
最初から多種多様な障害のある人に対応したものをつくろうと考えるのは大変。

利用するみんな、というのは、実は個人の集合体だから「みんなに向けて」のデザイン程、個人から出発するのが大事との考え。

これまでエクスクルード(排除)されてきたユーザーを実際に巻き込んでその個人と向き合う。
その先で、一人でも二人でも多くの人が使いやすいものを「ともに」考える。
そのデザインの方法・プロセスとしてIDがある。

その際「○○さんのために」という姿勢は「助ける人ー助けられる人」という構図を暗に仮定し、『他人事』で考えてしまうので、それよりも「○○さんとともに」という姿勢で、自分でもそれを使いたいと思うかどうか、を考えながら、具体的なモノを実際に作ってみるところまでワークショップでやってみる事が大事。

その過程自体も、必要な情報はきちんとグループ内で共有する(情報補償)、違う意見を尊重する、また、先入観を捨てて、目の前で見ているところでその人は何が出来て何が難しいのかを判断し、方法を一緒に見つけていくことで誰も排除しない=インクルーシブなものにすることが大事、とのお話でした。