2016年5月18日水曜日

160320「感じる筑波山ジオツアー」

広瀬浩二郎さんの講演の翌日3月20日、「ユニバーサルミュージアム(UM)研究会」と「筑波山地域ジオパーク推進協議会」の共催で「感じる筑波山ジオツアー」を行いました。

行程プロデュースと案内は、自然公園指導員の矢野徳也さんと、UM研メンバーで縄文イラストレーターのさかいひろこさんがしてくださいました。
イラストレーターさかいひろこさん作のステキなチラシ!矢野さんの似顔絵はご本人そのまんま!

筑波山神社山門の太い柱に触れながら大きさを体感。

筑波山神社におまいりしてからケーブルカーで山頂へ向い、自然観察路を、倒れた木をくぐったり、小さな花を愛でながらゆっくり歩いて立身石へ。

矢野さん、そこ落ちません?ダイジョウブデスか?と心配になるくらい見晴らしのよい場所



溶岩が冷えるときにできたしわが残る岩を触察中(立身石そば)
ケーブルカーで下山して梅林へ移動。
斜面に筑波石と呼ばれる岩がごろごろ、その間に梅が植えられています。
ふるまいのお茶をいただいたり、梅の香りをかいだりしながら特大の岩のところへ。

人の背丈以上ある、大きなオニギリのような形の岩。ブラインドの広瀬さん、説明聞きながら岩に触れていたと思ったら、あっという間にの急な斜面を上まで這い登って大きさを体感していました。

下から2.5m程ある大きな岩。
梅林そばを通る道路沿いに「まさ」と呼ばれる地層の崖。触るとぽろっと崩れそうな感触。先ほどの大岩との違いがとてもよくわかりました。
道路沿いの切り立った崖で「まさ」を観察。
バスで筑波石の巨石をご神体としている飯名神社へ移動。
筑波山地域でもとても古い神社なのだそうです。

見上げるような巨石の上に小さな祠があり、こちらがご神体のようです。
岩をよじのぼって祠におまいりし、大きさを体感しました。
神社の裏、ご神体の奥を流れる、筑波山から流れてくる小川にも触れました。




最後に筑波山のめぐみ、おいしい地下水で作られるお酒『男女川(みなのがわ)』をつくる稲葉酒造で、酒蔵の方のお話を聞きながら「きき酒」しました。

目以外の感覚もフルに使い、筑波山を文字通り「体感」するツアーとなりました。

矢野さん、さかいさん、ご協力くださったみなさん、ありがとうございました!!


常陽新聞、鈴木宏子記者さんが取材してくれました。
とてもよくまとめてくださっているので、音声読上げの方が読みやすいよう、テキスト化したものをブログに掲載したいと打診したところ、文末の一文を入れることで許可いただくことが出来ました。
ご協力ありがとうございました!


常陽新聞 2016年3月25日付1面に掲載

岩の感触や梅の香り体感
筑波山ジオツアー 視覚障害者ら11人

日本ジオパークの認定を目指している「筑波山地域ジオパーク」の一角、筑波山でこのほど「感じる筑波山ジオツアー」が実施された。見るだけでなく、触ったり、音を聞いたり、匂いをかぐなど五感で筑波山を体験するツアーだ。
 「筑波山地域ジオーパーク推進協議会」事務局は「ユニバーサルデザイン=メモ参照=の視点を取り入れたジオツアーは全国でも始まったばかりなので、筑波山地域でも今後充実させていければ」と話す。同推進協が共催し、ユニバーサルデザインの視点を取り入れたジオツアーが催されたのは初めて。
 市民団体「つくばバリアフリー学習会」(北村まさみ代表)、触って楽しむ展示など誰もが楽しめる博物館の普及に努める学術団体「ユニバーサル・ミュージアム研究会」(大阪府吹田市、代表・広瀬浩二郎国立民族学博物館准教授)と、同推進協の3者が共催した。
 同学習会と同研究会はこれまで筑波実験植物園(つくば市天久保)や縄文時代の遺跡、陸平貝塚(美浦村土浦)などですでに五感で楽しむツアーを開催してきた。
 筑波山ツアーは20日に開催され、男体山山頂付近の自然散策路、中腹の筑波山梅林、筑波山で最古とされるふもとの飯名神社などを訪れた。自然公園指導員の矢野徳也さん(47)=石岡市=が案内し、同研究会の広瀬代表など大阪や東京から6歳から50代までの視覚障害者や健常者11人が参加した。
 一行は筑波山神社からケーブルカーで山頂へ。自然散策路では、間宮海峡を発見した探検家の間宮林蔵が13歳のころ立身出世を祈願したといわれる立身石に両手を大きく広げて抱きつき、岩の感触や大きさを確かめた。
 梅林では梅の香りを嗅ぎ、筑波石と呼ばれる大きな岩を触った。案内人の矢野さんは「かつて土石流などが発生し、山頂近くにあった岩がころがってきた」などと説明。風化した花こう岩でできた「まさ」と呼ばれる地層も触り、感触の違いを確かめながら筑波山の成り立ちを体感した。飯名神社は筑波石の巨石をご神体としている。視覚障害者は四つんばいになりながら巨石によじのぼって大きさを体感した。広瀬代表は「歩いて木や石、地形自然を感じることができてとてもよかった」と感想を話した。
 見ることが主となるツアーと異なり、岩や木の幹、葉っぱ、草などを一つひとつ時間をかけてじっくり触ったり、立ち止まって音を聞いたり匂いをかいだりするのが特徴だ。
 案内した矢野さんは「視覚障害者は感覚がとても鋭く、健常者が何気なく見過ごしてしまうことを逆に教えられた」とする。「ジオツアーにはいろいろな楽しみ方があることが再確認できたのではないか」と話し「ジオパークの認定を目指す中で、あらゆる人たちが楽しめるユニバーサルデザインのジオツアーを考えるきっかけになれば」と語る。
 同学習会の北村代表(44)は「新しいことに取り組むのはハードルが高くなりがちだが、ジオツアーを通してさまざまな人が一緒に楽しむきっかけになれば」と話している。(鈴木宏子)

メモ:ユニバーサルデザイン
障害の有無や言語の違い、年齢や男女にかかわらず、すべての人が利用しやすい設計やデザイン。

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→この記事は常陽新聞より特別に許可を得て文章のみを転載しております
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岩の感触や梅の香り「感じる筑波山ジオツアー」
視覚障害者ら11人

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