2010年11月9日火曜日

いっしょに楽習会、「プランクトンの形」報告

10/31(日)、12名の方の参加で、
国立科学博物館植物研究部特別研究生の大金薫さんに「プランクトンの形」と題し、お話頂きました。


元々、古生物学がご専門、地層の年代を決めるのに放散虫を調べることから、今の研究をされているのだそうです。
講演する大金さん

立体模型を研究している、産総研・先進製造プロセス研究部門、
手嶋吉法さんのご協力で、微生物の骨格を立体模型にしたものと、
大金さんお手製のぬいぐるみをじっくりさわり鑑賞しながら

参加者みんなでぬいぐるみと立体模型を触察
プランクトンについて・・・

プランクトン=水に逆らって泳げないもの ⇔ 泳げるもの=ネクトン

動物、植物、藻類など、
大きさも、顕微鏡で見えるほどの微生物からエチゼンクラゲほどの大きさまで、
いろいろな生き物がいることや、
動物プランクトンと藻類が共生しているものがいる!?

などのお話聞きました。

言葉はよく聞くけれど、あまり聞く機会のない「プランクトン」についての興味深い話に話のそばから参加者から次々に質問が出され、大金さんが丁寧に答えながら解説してくれました。

そのあと、研究/採集現場の実際のお話。

海底の土の中から採集した、星の砂のように白くて細かい「乾燥残渣」や、採集に使うプランクトンネットを数種類用意くださり・・・
いろんな大きさのプランクトンがいること、そのためにいろんな大きさの網目を使うことわかり、また、実際のプランクトンの大きさ(小ささ?)を実感することができました。

さまざまな大きさの目の、10×10㎝のメッシュ地を交替で触察

海洋調査で使う大型のプランクトンネットは、はじめてみました!

ネット部分が2メートル近くあるプランクトンネットを紹介しています

海の深さによって生息しているプランクトンの種類が違ったり、成長の時期によって漂っている水位が違うものがいるとのお話でした。

今年の夏、40日間、グアムからアリューシャン列島まで太平洋の真ん中を北上する調査船に乗った時のお話と、以前にアメリカの調査船の調査のお話がありました。

5センチほどに縮まったカップラーメンの容器を触察

海中深いところを調査する際、水圧を見るためにラーメンのカップを沈めてみたものも持参くださり、きゅっと縮まってミニチュアのようにかわいくなったカップを、さわりながら興味深くみました。

縮まった容器

採集調査のお話だけでなく、船の中での生活について・・・
アメリカの船には浴槽がないが日本の船にはある、とか、寝台が狭いと思ったら、船が揺れたときに怪我をしないよう狭くして体があまり動かないようにしてあることなど、乗った人にしかわからない興味深いお話をきくことができました。

他にも、調査のときにつかう数種類の「ふるい」や、壊れたので不要になったという、海底を掘るためのドリルの先端部分の実物を用意くださって、興味深いお話とあわせて、参加者全員、手ざわりや重さなど実感することができました。

大金さんが伝えたいといっていた「単細胞は単純ではない、多様な世界」ということがよくわかりました。
あんなに小さな生き物でも生存のためにいろいろな工夫をしてきていることを知り、すごいなぁ!と尊敬したくなりました。
また、地球上の多種多様な生き物についてもそれぞれの進化の歴史があってそれぞれ今居るのだなぁと、極小のプランクトンの話から宇宙の中に浮かぶ地球を思いました。

感想
ぬいぐるみのかわいさ、気持ちよさにえがおの参加者
・ぬいぐるみが気持ちよかった。
・みるだけ、でなく、実物を触れるのが新鮮だった。
・単細胞生物なので単純と思っていたが複雑で驚いた。
 形も多様だし、種類もたくさんいるとのことを今日はじめて知ってビックリした。
・人類が繁栄していると思っていたけどヒト以上に多く繁栄しているとのこと。
 種類も多く、まだ未知のことも多いとのことでこれからの研究が楽しみ。
・小さすぎて関心持ちにくかったがぬいぐるみなどで大きくしてもらって俄然興味がわいた。
・単細胞とおもったのに骨も持っているなんて驚いた。その辺にたくさん居るのに知らなかったことばかり、これからもっと調べてみたいと思った。


「プランクトンの形」の話終了後、『触察』(さわってものをみること)について意見交換しました。

大金さんから、
企画展の時に、写真と文字の展示ばかりではつまらないので立体物に、また安全に手にとって見られるようにと、ぬいぐるみを作り展示。
こどもたちにとって手で触れる事がとてもインパクトがあったようで、展示出口付近に置いたらこどもたちが繰り返し戻ってきてさわったり、そのプランクトンについての展示を見に展示室に戻ったりということがあった、とのお話。

また、顕微鏡写真を見る際に、立体であるプランクトンは角度によって形が全く違って見えるので、それぞれのプランクトンの、上から見た形や横から見た形をぬいぐるみなら見る事ができる、3次元を3次元のままつかめることが学生さんたちの勉強にとっても役立つ、とのお話でした。

立体模型の研究をされている手嶋さんからは、
視覚障害の方の教材という「スペシャルニーズ」のために限らず、触察ではモノに親近感がわくし、見るだけでなく触ることでよりモノに向き合ったり、一般の人たちの自然科学の教材として大きな可能性があること。
また、今回の講座のように、いろんな人と共用で楽しむこともできるし、視覚に頼りすぎている人たちにとって触覚を広げることもしていくとよいのでは、とのお話でした。

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