2015年7月15日水曜日

150620「あなたの宇宙、わたしの宇宙」~宇宙を通して自分を学ぶ レポート

6/20、「あなたの宇宙、わたしの宇宙」~宇宙を通して自分を学ぶ
※手話通訳・要約筆記・簡易磁気ループ有

天文学習教材のシリーズ共著など、天文学教育の普及活動を一緒にされている嶺重慎さんと髙橋淳さん。
遠く京都の嶺重さんに、三菱財団社会福祉助成による出張授業の一環の形で茨城まできていただき、茨城県ご在住の髙橋さんとお2人そろってのお話を伺える貴重な機会をいただきました。
嶺重さん、高橋さんお2人そろって。隣には手話通訳。

触常者※4名含めて総勢35名の参加で行いました。

※触覚に依拠して生活している人。視覚に依拠して生活する人は「見常者」。
          広瀬浩二郎さん(国立民族学博物館)提唱の言葉。

学生時代の朗読ボランティアから現在まで、視覚障害の方がたとのお付き合いの長い嶺重さん。

見ても、触っても、聞いてもわかりやすい教材をと、バリアフリー天文学習教材『宇宙と私たち』を、ワンリソース・マルチモーダル出版・・・墨字(文字・写真の印刷)版、点字版、電子版・・でつくる活動を髙橋さんとされています。

今回、宇宙の歴史から地球や生命の歴史も含めた「ジュニア版」の教材を元に、宇宙の歴史をお話くださいました。

お話しする嶺重さん。後方に要約筆記による字幕がうつる。

地球に生命がある条件の1つは、月があるから。
それから、木星と土星があるから。
それから太陽が長生き。
太陽より重い星は寿命が短く、作り出したたくさんの元素を宇宙にまきちらす。
そのことで新しい星や私たちの身体の元になる・・

今、当たり前に存在しているものがもし当たり前でなかったとしたら・・・
いろいろな条件が重なって今の地球・生命が存在することをわかりやすくお話くださいました。

途中、点字・点図で書かれた真っ白な新刊の本が配られ、

ひらいた点字本をさわる

見常者には、「みないでさわってみること」の大切さと、
触察の方法・・・

・両手の指と手のひら全部を使って。
・全体から部分へ、部分から全体へ。繰り返し触ること。

の説明もいただき、点図をさわってみてみました。

正確なデータを元に作られた月の立体模型も用意され、
手のひらに乗るほどの大きさ。表面に凹凸のある月球儀

片側ずつ(月の表と裏)地表の様子が違うこと、そこからわかることのお話もありました。

お話の後半は髙橋さん。

引き続き、バリアフリー教材の点図のほか、太陽系誕生当時に存在していた微惑星の中心部に
あったと考えられている隕石の実物、太古の生き物の模型やぬいぐるみ、チンパンジーが作った道具の実物などを用意。

隕石他グッズを前にお話しする高橋さん。隣に手話通訳。

太古の生き物や恐竜から類人猿・ヒトまで、地球46億年の歴史をお話くださいました。

「今いる私達人類だけが特別な存在なのではなくて、
ずっと遡ると、生き物と地球が同じところから生まれたことが分かる。
そして、その地球というのは太陽と一緒に宇宙から生まれた。
50億年前うまれた太陽も、元を正すと138億年前に私たちの身体と一緒にみな、
ひとつのところから生まれた。
そう考えると、私達はずっとたどっていけば、みな兄弟。みな大切な存在。」

点図と触察教材を使っての「宇宙と地球・生命の歴史」は、
今あるものの不思議さ、大切さに改めて気づく、壮大な時間旅行となりました。

休憩時間にじっくり触察。手に持っているのはアンモナイトの復元模型
お2人の話の後は、近くの人やグループになっての対話。

「障害」のある人の発想・視点を活かし、その人らしさを発揮して
‘ともに‘楽しめる、遊びや学びの形を、参加者同士の対話を通して考えました。


お話聞いて近くの3~4人で感想を共有した後、
障がいのある人のオリジナリティを生かして、どんなことを一緒にするとおもしろそうか、
自由に考えてみようというテーマで6人程のグループに。

テーブルをかこんで6人で話し中。テーブルには書き込まれた模造紙。

途中メンバー入れ替えもしながら、各グループでそれぞれの人の
経験・知見がたくさん出され、活発な対話がみられました。

最後に、各グループでだされたものを発表しあいました。

 ・ダイアログインザダークのような体験
 ・車イスに乗ってみる体験 体験大切!
 ・あえて「バリア」を設けて‘違い‘を知り合う
 ・香りを頼りに進む迷路
 ・宇宙食を暗闇でたべてみる
 ・聞こえない人が音楽を感じる、いろんな方法を楽しむ
 ・服の素材(音の違い)を楽しむ
 ・いっしょに運動や体験をすることでコミュニケーションの必要性を体験できるといい

興味深いアイデアがたくさん出されました。

嶺重さん、高橋さんお2人による、多様な人と‘ともに‘だからこその学びと、
多様な人の参加で可能になる「障害学習」「共活」への‘種‘探しの対話は
貴重な時間となりました。ありがとうございました!

【参加された方の感想】

・天文学の初歩的な内容で、詳細がわかりやすく、点字は読めませんでしたが線で絵を表現したり、視覚障害に関わることを体験できてよかったです。 人々とのつながりが楽しいと思いました。

・宇宙のはじめから今まで私たちとずっとつながっているのだということがわかってよかった。

・前半の講師のお話も、後半の対話も、大変有意義でした。 同じ触図を使っても理解、感想がこうも違うのかと驚きました。

・自分を見直すよい機会となりました。

・人と人とのつながり、コミュニケーションについて改めて考えることが出来ました。

・視覚障害や聴覚障がいをお持ちの方のそれぞれの見方を伺う機会が得られたことが、
 今後につながる気づきとなりました。

・聴者と聴障者、視覚障害者、車イス等、互いの理解が必要と口で言うだけでなく、
 お互いの体験を話す、出すことで視野が広くなると実感しました。

・点字の本を触るのは初めてでとてもおもしろかったです。

・いろいろな人と話し合う機会が持ててすばらしかったです。
 気づきはありました。たくさんありすぎて書ききれません。

・障がいをいかしたワークショップアイデアは、誰にとっても楽しめるのでは?



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