2009年3月2日月曜日

タッチ&ヒアリングワールドWS


090207(土)筑波技術大学の佐々木健准教授の監修/ナビゲーションで
タッチ&ヒアリングワールドWSを行いました。
パソコンの画面に赤と緑色の絵。まっ白い画面に切り替わると残像がみえます
自分の指がある所で見えなくなる「盲点」の体験、残像によってさっき見た元の色と違った色が見えるという体験をしました。
視覚が、「今自分が見ているもの」が絶対的なものではなく、相対的なものだということを実感しました。
写真は、PCで陰性残像を体験する画面で体験している様子です。

はじめに、シュミレーターを使った、弱視(ロービジョン)の状態を体験。
 
白濁したファイルを使ったシュミレーターでは、白内障の状態に近い体験をしました。白濁しているだけ、と思いましたが、予想以上に前が見えない状態にびっくり。青地に黒の文字では、文字が読めませんが、黒地に白の文字は読む事ができました。「コントラスト」の高さが大切とのことでした。
白濁ファイルを通して黒地に白の文字をみている参加者
写真は、白濁シュミレーターをかけ、青地に黒の文字、黒地に白抜きの文字、二種類のみやすさを比べているところです。

視野狭窄のシュミレーションめがね。
視野狭窄のシュミレーション眼鏡で本を読んでいる参加者視野狭窄のシュミレーションめがねで本を読んでいます(写真)。
文字は、読むことができましたが、歩いてみるとまわりがみえず慎重な歩きになりました。
「本を読んでいた人が、歩くときに白い杖を使っていると、周りの人に『本当は見えているのでしょう?』と言われてしまうことがある」とのお話。
文字は読めても、歩行に困難を感じる方もいること、実感しました。

ここまで、自分の中にも盲点や色覚「異常」があること、視野狭窄など「視覚障害」には、いろいろな「みえ方」があることを体験しました。
   
では、目(視覚)で見る以外の方法でまわりをどうつかむのか?
キーワードは、「タッチ&ヒアリング」。
ここからは、アイマスクをして体験しました。

【タッチ(触覚)】
床にざらざらしたテープをはり、白杖(はくじょう)で、歩行してみる体験をしました(写真)。白杖使い、床の凹凸テープを探り歩いてみる人差し指の指先で机を触ってみた後、そのまま、人差し指を伸ばし杖に添え、他の四指で杖を握り、白杖で床を探りながら歩きます。
動きは、人差し指でモノを確認するのと同じです。
白杖は、「人差し指の延長線」であるということ、実感しました。
  
次に、紙やアルコール飲料の缶のふたにある点字を読んでみる体験(写真)。
次に、
鍼灸が専門の佐々木先生、首の凝っている所を触れて探し、
安全に火を近づけられるよう、技術大で開発されたという筒を使って、
お灸をすえてくれました。(写真)
「あんま・はり・灸は、『触れて分かる技術』」とのお話。
改めて、目の不自由な方の仕事として選ばれてきたのだということを思いました。
安全な筒を使って参加者にお灸をすえる講師

【ヒアリング(聴覚)】  
DAISY(デイジー)は、カセットに代わるデジタル録音図書で目の不自由な方も多く利用しています。その再生機には、音量だけでなく、速さ、低音部または高音部を強くする、声質を高くまたは低くする、などの機能があり、多彩な聞き方/聞こえ方を体験しました。

音によって周囲の状況をつかむ「エコーロケーション」。
目の前に風船などのモノがあると自分の発する声が変わって聴こえたり、
音の反響で部屋の広さがある程度判ることを体験しました。
目の不自由な方は、このエコーロケーションを活用して環境を把握している方も多いそうです。
      
これまでの経験の中でも、そういえば、狭い所の階段と広い階段の反響音はまったく違います。
普段気づかないけれど、感じる力は自分にも備わっていること、今回の体験で気づかされました。
  
目が見えない、見えにくいということの「疑似体験」ではなく、自分の中にも「盲点」や「色覚異常」があることに気づいたり、目の不自由な人たちがどう生活しているか・・・自分の中にもある、視覚以外の方法を使い生活していることを「実体験」として知ることができたワークショップでした。
 

参加者の感想

 
日ごろ、自分がいかに視覚に頼って生活しているか、考える機会を頂きました。自分にもエコーロケーションや点字を感じる能力があり、視覚障害者の人が、特別な能力を持っているわけでは、ないことを知りました。聴覚や触角を使うことを意識させられることはなかなか少ないので、とてもよい経験になりました。ありがとうございました。(20代男性 つくば市)
 
歩行体験。杖が指先の延長というのを実体験でき、目からうろこ、のような体験でした。(20代女性 つくば市)
 

自分の中の欠損部分に気づいたり、感覚の鈍さに気づいたり、とても楽しめました。視覚を閉じたときの他の感覚(皮膚、嗅覚、聴覚など)が、少し鋭敏になる気がしました。自分の内在する感覚を磨くと面白いですね。(50代男性 水戸市)
 
 
大変興味深く、良いwsでした。障害をもつひとも、そうでない人も、大きな区別などない、という思いが一層強くなりました。このような機会があれば、もっと多くの、未体験の人に参加を呼びかけたいです。(20代女性 つくば市)
 
 
誰にでも自分の中にある視覚の中の弱点を体験できて、とても興味深かったです。そうした体験を持つことで、視覚障害者と晴眼者という境界付けが書き換えられ、自分自身の体験として多角的に考えていける理解を作っていきたいと思います。(40代女性 つくば市)

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