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2016年5月18日水曜日

160320「感じる筑波山ジオツアー」

広瀬浩二郎さんの講演の翌日3月20日、「ユニバーサルミュージアム(UM)研究会」と「筑波山地域ジオパーク推進協議会」の共催で「感じる筑波山ジオツアー」を行いました。

行程プロデュースと案内は、自然公園指導員の矢野徳也さんと、UM研メンバーで縄文イラストレーターのさかいひろこさんがしてくださいました。
イラストレーターさかいひろこさん作のステキなチラシ!矢野さんの似顔絵はご本人そのまんま!

筑波山神社山門の太い柱に触れながら大きさを体感。

筑波山神社におまいりしてからケーブルカーで山頂へ向い、自然観察路を、倒れた木をくぐったり、小さな花を愛でながらゆっくり歩いて立身石へ。

矢野さん、そこ落ちません?ダイジョウブデスか?と心配になるくらい見晴らしのよい場所



溶岩が冷えるときにできたしわが残る岩を触察中(立身石そば)
ケーブルカーで下山して梅林へ移動。
斜面に筑波石と呼ばれる岩がごろごろ、その間に梅が植えられています。
ふるまいのお茶をいただいたり、梅の香りをかいだりしながら特大の岩のところへ。

人の背丈以上ある、大きなオニギリのような形の岩。ブラインドの広瀬さん、説明聞きながら岩に触れていたと思ったら、あっという間にの急な斜面を上まで這い登って大きさを体感していました。

下から2.5m程ある大きな岩。
梅林そばを通る道路沿いに「まさ」と呼ばれる地層の崖。触るとぽろっと崩れそうな感触。先ほどの大岩との違いがとてもよくわかりました。
道路沿いの切り立った崖で「まさ」を観察。
バスで筑波石の巨石をご神体としている飯名神社へ移動。
筑波山地域でもとても古い神社なのだそうです。

見上げるような巨石の上に小さな祠があり、こちらがご神体のようです。
岩をよじのぼって祠におまいりし、大きさを体感しました。
神社の裏、ご神体の奥を流れる、筑波山から流れてくる小川にも触れました。




最後に筑波山のめぐみ、おいしい地下水で作られるお酒『男女川(みなのがわ)』をつくる稲葉酒造で、酒蔵の方のお話を聞きながら「きき酒」しました。

目以外の感覚もフルに使い、筑波山を文字通り「体感」するツアーとなりました。

矢野さん、さかいさん、ご協力くださったみなさん、ありがとうございました!!


常陽新聞、鈴木宏子記者さんが取材してくれました。
とてもよくまとめてくださっているので、音声読上げの方が読みやすいよう、テキスト化したものをブログに掲載したいと打診したところ、文末の一文を入れることで許可いただくことが出来ました。
ご協力ありがとうございました!


常陽新聞 2016年3月25日付1面に掲載

岩の感触や梅の香り体感
筑波山ジオツアー 視覚障害者ら11人

日本ジオパークの認定を目指している「筑波山地域ジオパーク」の一角、筑波山でこのほど「感じる筑波山ジオツアー」が実施された。見るだけでなく、触ったり、音を聞いたり、匂いをかぐなど五感で筑波山を体験するツアーだ。
 「筑波山地域ジオーパーク推進協議会」事務局は「ユニバーサルデザイン=メモ参照=の視点を取り入れたジオツアーは全国でも始まったばかりなので、筑波山地域でも今後充実させていければ」と話す。同推進協が共催し、ユニバーサルデザインの視点を取り入れたジオツアーが催されたのは初めて。
 市民団体「つくばバリアフリー学習会」(北村まさみ代表)、触って楽しむ展示など誰もが楽しめる博物館の普及に努める学術団体「ユニバーサル・ミュージアム研究会」(大阪府吹田市、代表・広瀬浩二郎国立民族学博物館准教授)と、同推進協の3者が共催した。
 同学習会と同研究会はこれまで筑波実験植物園(つくば市天久保)や縄文時代の遺跡、陸平貝塚(美浦村土浦)などですでに五感で楽しむツアーを開催してきた。
 筑波山ツアーは20日に開催され、男体山山頂付近の自然散策路、中腹の筑波山梅林、筑波山で最古とされるふもとの飯名神社などを訪れた。自然公園指導員の矢野徳也さん(47)=石岡市=が案内し、同研究会の広瀬代表など大阪や東京から6歳から50代までの視覚障害者や健常者11人が参加した。
 一行は筑波山神社からケーブルカーで山頂へ。自然散策路では、間宮海峡を発見した探検家の間宮林蔵が13歳のころ立身出世を祈願したといわれる立身石に両手を大きく広げて抱きつき、岩の感触や大きさを確かめた。
 梅林では梅の香りを嗅ぎ、筑波石と呼ばれる大きな岩を触った。案内人の矢野さんは「かつて土石流などが発生し、山頂近くにあった岩がころがってきた」などと説明。風化した花こう岩でできた「まさ」と呼ばれる地層も触り、感触の違いを確かめながら筑波山の成り立ちを体感した。飯名神社は筑波石の巨石をご神体としている。視覚障害者は四つんばいになりながら巨石によじのぼって大きさを体感した。広瀬代表は「歩いて木や石、地形自然を感じることができてとてもよかった」と感想を話した。
 見ることが主となるツアーと異なり、岩や木の幹、葉っぱ、草などを一つひとつ時間をかけてじっくり触ったり、立ち止まって音を聞いたり匂いをかいだりするのが特徴だ。
 案内した矢野さんは「視覚障害者は感覚がとても鋭く、健常者が何気なく見過ごしてしまうことを逆に教えられた」とする。「ジオツアーにはいろいろな楽しみ方があることが再確認できたのではないか」と話し「ジオパークの認定を目指す中で、あらゆる人たちが楽しめるユニバーサルデザインのジオツアーを考えるきっかけになれば」と語る。
 同学習会の北村代表(44)は「新しいことに取り組むのはハードルが高くなりがちだが、ジオツアーを通してさまざまな人が一緒に楽しむきっかけになれば」と話している。(鈴木宏子)

メモ:ユニバーサルデザイン
障害の有無や言語の違い、年齢や男女にかかわらず、すべての人が利用しやすい設計やデザイン。

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→この記事は常陽新聞より特別に許可を得て文章のみを転載しております
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常陽新聞スマートフォン版 リンク先で掲載された写真と記事の一部がみられます
岩の感触や梅の香り「感じる筑波山ジオツアー」
視覚障害者ら11人

2016年4月14日木曜日

160319 広瀬浩二郎さん講演会 触る感動、動く触感~「見えない世界をみる」身体知の探究~ 


160319広瀬浩二郎さんの講演会

触る感動、動く触感 ~「見えない世界をみる」身体知の探究~ 
講座案内

触常者の方3人含む30人を超す方にご参加いただきました。

今回もお話し聞くだけでなく、‘触る‘‘聴く‘‘動く‘のワークが織り込まれた講演会。

「触りたくなる」本をめざした近刊3冊の表紙の‘進化‘を、実物を回覧(回触?)して実感したり、見えない袋に入れられたモノをまわして手探りで当てるワークもしました。

触察したモノを手に話す広瀬さん
平家物語の一節について、広瀬さんが現代語訳を読上げてくださって意味をつかんでから、琵琶法師の語り(CD)を、全身を集中させて聴きました。
人の語りから、みたことのない情景を頭の中にそれぞれ思い描く、発し手と受け手がいて成り立つ世界がある・・・昔の人々もそうやって楽しんできたんだぁなと、昔の人と少しつながったような気にもなりました。

目を使わずに、手首をふれあわせた状態から相手を感じて反応する・・・離れた状態から相手を感じるにはまだまだ修行が必要ですが。
目を使わないで相手の動きを感じてみる、そんな体験を最後にしました。

近くの人同士で体験中

講演会終了後は恒例の茶話会。
オカリナ奏者の方から一曲プレゼントというサプライズも!

15人くらいでテーブルをかこんで

広瀬さん、参加頂いたみなさん、ありがとうございました!


参加者の感想
・ユーモアあふれる広瀬さんのお話しが楽しかったです。あっという間の2時間でした。

・さわって考える、その考えるプロセスが大切だという言葉が印象に残った。

・見えてわかった気になっていることに気づきました。

・広瀬さんが平家物語を点字を触りながら読んでくださっている指をみながら聞くと、とても立体的 に感じ、指から香りが見えるようでした。

・久しぶりに触ることをしました。合気道はドンくささがわかり、面白かったです。

・生身の体で触れる、見る、聞くなど、ライブでしか得られることがないものを感じました。

・黒袋の中の物に触れて、手ざわりや重さや、何なんだろうと想像するのは楽しかったです。

・琵琶法師の語りを聞いて、義太夫節も同じだなと思いました。一人で情景や人格を語り、それを聞く側も想像するという日本の音曲の素晴らしさを再認識しました。

・差別解消法に向けてどのようなことが出来るか、考える機会ができたと思う。

・隣に座った人同士で感想を述べ合ったことも楽しかった。

・この手の学習会に参加するときは「生まじめ」な態度で臨まなければならない!と思ったりしてこの現場に来たのですが、もしかしたら、そうじゃなくて、あんまり、そんなふうに考えないで、ごくごく自然体で接する、それでいいのかなぁ~と今、思ったりしています。おちゃめな(失礼)広瀬先生のひととなりを拝見してて、そう感じました。

2015年7月15日水曜日

150620「あなたの宇宙、わたしの宇宙」~宇宙を通して自分を学ぶ レポート

6/20、「あなたの宇宙、わたしの宇宙」~宇宙を通して自分を学ぶ
※手話通訳・要約筆記・簡易磁気ループ有

天文学習教材のシリーズ共著など、天文学教育の普及活動を一緒にされている嶺重慎さんと髙橋淳さん。
遠く京都の嶺重さんに、三菱財団社会福祉助成による出張授業の一環の形で茨城まできていただき、茨城県ご在住の髙橋さんとお2人そろってのお話を伺える貴重な機会をいただきました。
嶺重さん、高橋さんお2人そろって。隣には手話通訳。

触常者※4名含めて総勢35名の参加で行いました。

※触覚に依拠して生活している人。視覚に依拠して生活する人は「見常者」。
          広瀬浩二郎さん(国立民族学博物館)提唱の言葉。

学生時代の朗読ボランティアから現在まで、視覚障害の方がたとのお付き合いの長い嶺重さん。

見ても、触っても、聞いてもわかりやすい教材をと、バリアフリー天文学習教材『宇宙と私たち』を、ワンリソース・マルチモーダル出版・・・墨字(文字・写真の印刷)版、点字版、電子版・・でつくる活動を髙橋さんとされています。

今回、宇宙の歴史から地球や生命の歴史も含めた「ジュニア版」の教材を元に、宇宙の歴史をお話くださいました。

お話しする嶺重さん。後方に要約筆記による字幕がうつる。

地球に生命がある条件の1つは、月があるから。
それから、木星と土星があるから。
それから太陽が長生き。
太陽より重い星は寿命が短く、作り出したたくさんの元素を宇宙にまきちらす。
そのことで新しい星や私たちの身体の元になる・・

今、当たり前に存在しているものがもし当たり前でなかったとしたら・・・
いろいろな条件が重なって今の地球・生命が存在することをわかりやすくお話くださいました。

途中、点字・点図で書かれた真っ白な新刊の本が配られ、

ひらいた点字本をさわる

見常者には、「みないでさわってみること」の大切さと、
触察の方法・・・

・両手の指と手のひら全部を使って。
・全体から部分へ、部分から全体へ。繰り返し触ること。

の説明もいただき、点図をさわってみてみました。

正確なデータを元に作られた月の立体模型も用意され、
手のひらに乗るほどの大きさ。表面に凹凸のある月球儀

片側ずつ(月の表と裏)地表の様子が違うこと、そこからわかることのお話もありました。

お話の後半は髙橋さん。

引き続き、バリアフリー教材の点図のほか、太陽系誕生当時に存在していた微惑星の中心部に
あったと考えられている隕石の実物、太古の生き物の模型やぬいぐるみ、チンパンジーが作った道具の実物などを用意。

隕石他グッズを前にお話しする高橋さん。隣に手話通訳。

太古の生き物や恐竜から類人猿・ヒトまで、地球46億年の歴史をお話くださいました。

「今いる私達人類だけが特別な存在なのではなくて、
ずっと遡ると、生き物と地球が同じところから生まれたことが分かる。
そして、その地球というのは太陽と一緒に宇宙から生まれた。
50億年前うまれた太陽も、元を正すと138億年前に私たちの身体と一緒にみな、
ひとつのところから生まれた。
そう考えると、私達はずっとたどっていけば、みな兄弟。みな大切な存在。」

点図と触察教材を使っての「宇宙と地球・生命の歴史」は、
今あるものの不思議さ、大切さに改めて気づく、壮大な時間旅行となりました。

休憩時間にじっくり触察。手に持っているのはアンモナイトの復元模型
お2人の話の後は、近くの人やグループになっての対話。

「障害」のある人の発想・視点を活かし、その人らしさを発揮して
‘ともに‘楽しめる、遊びや学びの形を、参加者同士の対話を通して考えました。


お話聞いて近くの3~4人で感想を共有した後、
障がいのある人のオリジナリティを生かして、どんなことを一緒にするとおもしろそうか、
自由に考えてみようというテーマで6人程のグループに。

テーブルをかこんで6人で話し中。テーブルには書き込まれた模造紙。

途中メンバー入れ替えもしながら、各グループでそれぞれの人の
経験・知見がたくさん出され、活発な対話がみられました。

最後に、各グループでだされたものを発表しあいました。

 ・ダイアログインザダークのような体験
 ・車イスに乗ってみる体験 体験大切!
 ・あえて「バリア」を設けて‘違い‘を知り合う
 ・香りを頼りに進む迷路
 ・宇宙食を暗闇でたべてみる
 ・聞こえない人が音楽を感じる、いろんな方法を楽しむ
 ・服の素材(音の違い)を楽しむ
 ・いっしょに運動や体験をすることでコミュニケーションの必要性を体験できるといい

興味深いアイデアがたくさん出されました。

嶺重さん、高橋さんお2人による、多様な人と‘ともに‘だからこその学びと、
多様な人の参加で可能になる「障害学習」「共活」への‘種‘探しの対話は
貴重な時間となりました。ありがとうございました!

【参加された方の感想】

・天文学の初歩的な内容で、詳細がわかりやすく、点字は読めませんでしたが線で絵を表現したり、視覚障害に関わることを体験できてよかったです。 人々とのつながりが楽しいと思いました。

・宇宙のはじめから今まで私たちとずっとつながっているのだということがわかってよかった。

・前半の講師のお話も、後半の対話も、大変有意義でした。 同じ触図を使っても理解、感想がこうも違うのかと驚きました。

・自分を見直すよい機会となりました。

・人と人とのつながり、コミュニケーションについて改めて考えることが出来ました。

・視覚障害や聴覚障がいをお持ちの方のそれぞれの見方を伺う機会が得られたことが、
 今後につながる気づきとなりました。

・聴者と聴障者、視覚障害者、車イス等、互いの理解が必要と口で言うだけでなく、
 お互いの体験を話す、出すことで視野が広くなると実感しました。

・点字の本を触るのは初めてでとてもおもしろかったです。

・いろいろな人と話し合う機会が持ててすばらしかったです。
 気づきはありました。たくさんありすぎて書ききれません。

・障がいをいかしたワークショップアイデアは、誰にとっても楽しめるのでは?



2014年12月16日火曜日

141019ブラインドの方との触察自然観察WS

学習会 10/19ブラインドの方との自然観察WS

きのこ展でにぎわう植物園で7人で行いました。

筑波学院大、OCPプログラムの単発参加の1年生、
中国からの留学生も3人参加しました。

藤田さんから車イスの乗り方を、
ブラインドのTさんからは、白杖ユーザーのガイドの仕方を
教えてもらってから、交代で車イス、サポートを体験しながら
園内を散策しました。
Tさんから「特殊な人な訳ではないから街中でも気軽に話しかけて」
とのお話がありました。

円陣になってお話を伺う

途中の小道で枝の葉をさわってみる

後半は2グループに分かれ、
さわれるきのこの展示コーナーで「きのこでオノマトペ」。

きのこの手ざわりを表すオノマトペ(擬音語・擬態語)を
みんなで相談してきめ、お互い発表しあいました。

みんなできのこをさわってみる


スッポンタケは べチョべチョ と ぶよぶよ。
ノウタケは もちもち と ふかふか。
・・・
相談してホワイトボードに記入


同じきのこでも表し方が違うのも面白かったです。

2014年1月30日木曜日

131223 いっしょに楽習会~「さわろう!植物展」鑑賞と触察体験!

2013年12月23日
いっしょに楽習会 ~おでかけ楽習会~
筑波実験植物園「さわろう!植物展」鑑賞と触察体験!
  市民大学講座案内 
  
筑波実験植物園「さわろう!植物展」
を触常者の方を含む総勢10人で楽しみました。



大人は触らずに通れない、こどもは手を出さずにいられない!
ユニークな仕掛けの「ゲート」をくぐってスタート。
オジギソウ、泡の立つ植物、触って楽しい多肉植物などなど、楽しみながら植物の生態の多様性を学べるコーナーがたくさんありました。


触覚、嗅覚をフルに使って楽しみました。



多目的温室では「味覚」を使う体験があるとのことで、わくわくしながらそちらへ移動すると・・・


外国で飲まれているというめずらしい地衣類のお茶と、強い香りが特徴的な肉桂の生葉を煎じて煮出したお茶をご馳走になりました。地衣類のお茶は不思議な香り!?


今回は植物化石もさわれる状態での展示もありました。
植物とその化石の両方を触察で楽しめる貴重な機会となりました!
専門家の方から丁寧な解説もありました。


植物園のボランティアの方も丁寧に説明くださいました。

植物園のみなさん、ありがとうございました!

2013年11月15日金曜日

131103地質標本館を楽しもう!

11/3(日)13:30~
いっしょに楽習会~おでかけ楽習会は、ブラインド/触常者のTさん含め5人で地質標本館へ行きました。

地球のなりたち、日本の地質、地震や火山、さまざまな資源や岩石・鉱物・化石の紹介をしている産業技術総合研究所・地質標本館。
今回は、期間限定で公開されていた標本にちなみ、「地震」をテーマに、専門家の方お二人にご案内いただきました。

ホールで天井展示物の解説を聞く
吹き抜けホール天井には日本列島の地震の発生位置・大きさをランプで示したもの。
太平洋側から日本海に向かって深くなっている様子から、プレートが沈み込み、その付近で地震が起きていることが理解できます。

期間限定で公開されていたのは、西暦869年の貞観(じょうがん)地震による津波堆積物の実物標本。
高さ230㎝もある標本にくっきり、歴代の堆積物が層になっているのがみえ、一層一層について解説頂きました。
貞観の津波の後にも津波堆積物の層があり、東日本大震災のものもあるそうです。

東日本大震災の津波堆積物の標本を、板にはりつけ、触ってわかるようにしたものを用意くださり、層になっている様子をTさんが触察しました。

両手で触察するTさん
ホール中庭にある褶曲のレプリカ。
その現地では、東北地方太平洋沖地震の影響で地盤が1.2メートルも下がったそうです。
こちらも、褶曲の様子を表した触察パネルを作成くださり、Tさんとも共有できました。

白黒の砂で縞状になっているパネルを触察
ホールにある新しい展示「糸魚川-静岡構造線活断層系」地層の実物標本は、高さが4m以上もあり、圧巻。断層の境をはさみ、左右で地層のずれていることがわかります。

地震で液状化が起きる仕組みをペットボトルの模型で説明頂きました。

液状化の仕組みを模型と解説で学ぶ
地下の緩い層が水とともに地震の揺れで下から噴き上げて地表に達するペットボトル模型の様子を見、解説をきいた後、2Fにある「液状化層の地層はぎ取り標本」へ。

背丈の倍近くある巨大な標本の前で
ゆるい層から地表に向かってまっすぐ噴出している様子がよくわかりました。

こちらでは、地層標本の模式図に、紐など使い、層の境が触ってわかるように工夫されたパネルを用意頂き、Tさんはそれを触りながらお話を聞いていました。

パネルを触察中
地震がテーマの展示見学の途中で、実際の地震が起きてみんなでびっくり。地震の実物まで体験・体感する見学会となりました。
触察できる標本やパネルを準備頂いたおかげで、また順路も組み立てていただき、とてもわかりやすい解説で、楽しく学ぶことが出来ました。

前半が終了して休憩。
休憩時間には、型と樹脂粘土を用意くださり、
アンモナイト化石のレプリカをつくりました。
1週間程で固まってさわっても大丈夫になるのだそうです。

作るのに夢中で作成中の写真を撮り忘れました・・

完成した後のAさんの笑顔(写真)


 
さわっても大丈夫な化石や岩石の密度のわかる標本も用意いただいて触察しました。


写真:テーブルに一列に並んだ化石・岩石
後半の点字つけは、展示室内の触れる岩石標本について行いました。
どう触察するか、その際どこに点字シールが貼ってあるとよさそうか、Tさんが検討。点字は、職員の方が後日貼ってくださることとなりました。


  写真:誰でも触察できる岩石の展示の前で

その岩石がどこで作られたのかを示すイラストに、やはりテープや砂などで触ってわかるようにしたパネルを準備くださっていました。
こちらのパネルには、Tさんが数字を点字で打ち、


  写真:点字板で点字をうつTさん

実際にさわってきちんと読めるかどうか、紐との位置関係を確認しながら、展示岩石の番号に対応した場所に貼りました。


   写真:紐の位置を確認しながら点字を貼る

解説図の説明を聞きながら、パネルが触ってわかるようになっていることでより理解できるそうです。

Tさんはじめ、参加者のみなさんから「展示の解説もわかりやすく、楽しかった。後半の点字についてのことも、大変有意義な体験だった」との感想がありました。

ご理解と周到なご準備、そして長時間のご案内をいただきました
館長の利光先生、住田さん、ありがとうございました!

2013年7月4日木曜日

2013.6.23宇宙に「さわる」WS

6月23日(日)  13:00~16:00

いっしょに楽習会~自然を『体感』しよう!
第2回 宇宙に「さわる」 ワークショップ! 
みんなで工夫、立体宇宙模型キットの開発をしよう!?

宇宙の話を聞いて、その内容をおうちに持ち帰って誰かに伝えることができるよう、サイエンスグッズをみんなで‘創る‘ワークショップ。
触常者と見常者でグループになり、みんなの工夫で創ります。
【話題提供】 高橋淳さん
    (茨城県立高等学校教諭 専門分野は天文教育)

触常者(ブラインドの方)を含め7名の参加で行いました。
写真:テーブルを囲んで、触常者とアイマスクをした見常者が封筒の中を手で確認中。



宇宙の素晴らしさをいろんな人と分かち合いたいと活動してきた高橋さん。

これまでも、天体の写真をみてちぎり絵で表す「宇宙ちぎり絵」を親子で楽しんでもらうWSなどをしてきたそうです。

どんな方法だったらブラインドの方とも宇宙の楽しみを「さわって」共有できるか、実践してみるのが今日のWS。模型の材料一式を封筒にいれたものを一つずつお渡しし、手で確認。

講師の高橋さんのお話を聞きながら&4つの模型を「目を使わない」で作りながら、WSは進みました。


宇宙の誕生でできたガスがまざりあい、
ガスの濃い所が星の元となる「グロビュール」になり、
そのなかから星の赤ちゃん(原始星)ができ、
ガスをまとったままだんだん小さくだんだん高温になり星ができる・・・

この4つの段階を、
ガスはふわふわのフェルト、
グロビュールは毛糸片、
原始星は丸めた脱脂綿、
成長した星は手芸用の発泡の丸い玉で表現。

写真:2種類のガスをあらわす2色のふわふわのフェルトをまぜる参加者


写真:完成したものをさわりながら高橋さんからさらに詳しいお話を聞きます。

ここで毛糸片(と脱脂綿)が4つだった理由が・・・大きな4つの若い星がみえるオリオン大星雲がモデルなのだそうです。


写真:写真を示して話す高橋さんと、点字版をみながら話を聞く触常者。



「この写真のように・・・」の説明の時にはマルチモーダル図書
「ホシオくん天文台へゆく」
 高橋淳 ・ 嶺重慎 /著、坂井治 /絵 
http://www.d-kobo.jp/16_159.html
墨字版、点図版が大活躍。
天体写真を共有できるのが嬉しい!

写真:テーブル中央に川のように並べた星たちと、後ろに参加者のみなさん

みんながつくった「成長した星」をならべて「散開星団すばる」に、そして成長途中のものも全部ならべると・・・天の川になりました!


次に、宇宙のお話を聞いた後で自由な発想で‘宇宙‘を‘創り‘ました。 

 
写真3枚:紙の紐、さまざまな毛糸、ふわふわのフェルト、ビーズ糸などなど使い熱心に作る参加者のみなさん

真剣な顔でとりくみはじめて思ったモノが形になってきて笑顔に。
わいわいいいながらできたのは・・・

写真:渦巻きのガス(フェルト)をまとった双子星、さまざまな手ざわりの糸をまいた丸い星、何かの軌跡を示すような紙の紐のつながりのあるものなど。
ガスをまとって極部分から何かが噴出しているようなものは高橋さん作。

どれも素晴らしい~!

一人一人、どんな思いでつくったのかを発表しながら、みて、さわって、味わいあいました。

写真:解説する高橋さんと、作品をさわりながら話を聞く参加者の一人。

触常者のTさんの発想でできたものは、実は実在するんだそう!
(星からガスが出ている先にブラックホールがある)

他にも実在の天体を思いださせるような作品たちから
「宇宙戦艦ヤマト」の話題でも盛り上がりながら、
宇宙を旅するような時間となりました。

最後に高橋さんの奥様ご考案の「土星」をみんなでつくりました。



写真:スチロールの球体の赤道上にまち針をさし、まち針の頭の部分を、ドーナツ状の薄いスポンジシートではさんでボンドでとめる。これで本当に環に囲まれた球体が浮いているような状態に。作成中の参加者のみなさんの様子。



感想
Tさん(触常者)
星は丸か土星のようなものしかないとおもっていた。
自分が作ったモノが実際にあると知れたのが面白かった。

Fさん 手を動かしながらどんどん形になっていくのが面白かった。
イメージしたモノが立体にできるのが新鮮でとても楽しかった。

Tさん
宇宙が好きで写真はよく見ていたが、立体ははじめて。
難しかったがとても楽しかった。

Aさん
宇宙を「体験」しているような気がした。創造主、巨人にでも
なったような感じもした。

Iさん
お話だけ聞いてもよくわからなかった知識が、
つくってみることでとてもよく分かった。  

高橋さん
作ってみる事でみなさんの頭の中が外に現れて、
それを共有できるのがとてもよかった。
一人ではなく何人かで共有できることがより楽しいし、
‘天の川‘も何人か居ることで可能になった。

高橋さん、素晴らしい時間を有難うございました!

追伸:
「目を使わない」体験をした見常者から
「モノがどこかにいってしまうので、箱のふたなど‘自分の枠‘があるとよかった」
との意見がありました。

このことについて触常者のTさんと話したところ、
「自分は、一緒に入っていたビニールの袋の上に置くようにしていた」とのこと。

触常者の方は、その場にあるもので、自分が後からでも分かる手がかりを準備しながら進めていたのだという「違い」を、思い知りました。

お互いの「違い」を知ることでより世界が広がる、をまた実感しました。

つくば市民大学のブログに、参加してくれたスタッフさんの記録があります。
つくば市民大学ブログ